プロジェクト全体の動きを俯瞰で見えることができるので、二重報告などの労務負担が軽減し、さらに二重投資などの無駄を回避することも可能になった。
計画時に確保していた予算や納期が著しく不足して遂行が困難になってしまう「炎上案件」を早期発見し対処することで、トラブルを未然に回避できるようになった。
ITプロジェクト案件の全体をワンポータルで確認できるため、プロジェクトの優先順やリソース配分を考慮して投資計画を立てることがしやすくなった。
海外事業の拡大とともに増え続けるITプロジェクトの全容を「見える化」。管理の効率化とともに投資の最適化を図る
グローバル化とともに増え続けるITプロジェクトをいかに管理するか?
1890年に大阪で創業した参天製薬は、「世界の人々の目の健康への貢献」を使命とし、目薬や眼内レンズなどの製品を開発・製造する「眼科領域に特化したスペシャリティ・カンパニー」です。
1899年に発売された「大学目薬」は、明治から令和に至るまで100年以上も愛され続ける超ロングセラー商品であり、現在では「サンテFX」や「サンテピュア」などの幅広い商品ラインナップを展開しています。
しかし、「実際にはドラッグストアなどで販売される市販の目薬の売上高比率は1割以下。売上高の約9割を占めるのは、世界中の眼科医などが使用する医療用医薬品です」と語るのは、同社の堤 遠氏です。
参天製薬が販売する医療用眼科薬の数は、日本だけで70品目以上。網膜疾患や緑内障、ドライアイ、感染症、アレルギー、白内障など、さまざまな眼疾患をカバーしており、国内の医療用眼科薬市場で圧倒的なシェアを誇っています。
同社の優れた製品・サービスに対する評価は海外でも高く、現在、世界60以上の国・地域で事業を展開。点眼薬の年間製造本数は約4億本、貢献した患者数は年間3,000万人以上に上ります。
こうしたグローバルな躍進をITプロジェクトの管理・遂行の側面から支えているのが、堤氏らが統括する情報システム本部です。
情報システム本部は、大阪本社のほか、欧州、アジア、北米に計70名以上の人員を配置し、それぞれの地域の事業活動に用いられるITシステムの導入・運用やデジタルツール活用による業務効率化、データ利活用による迅速な経営判断のサポートなどを支援しています。
「当社は、2020年までの長期ビジョンとして『世界で存在感のあるスペシャリティ・カンパニー』の実現を掲げ、この10年間、グローバル展開を加速してきました。海外売上高比率は、2020年3月期末で33%に達する見通しです。グローバル化が進むと、当然ながら海外でのITプロジェクト案件も増えていきます。その中で、近年浮かび上がってきたのが、海外売上高比率の拡大とともに、年々グローバルに増え続けているITプロジェクトの予算や進捗状況をいかに『見える化』し、適切に管理するかという課題でした」と堤氏は振り返ります。
現在、各リージョンから堤氏の元に上がってくるITプロジェクトの予算申請件数は年間150件以上にも上ります。
これほどの数になると、『プロジェクトが割り振られた予算を使ってちゃんと動いているのか?』『予算オーバーしていないか?』『予定通りに進捗していないとすれば何が原因なのか?』といった、全体像の把握がどうしても難しくなります。
「そこで、グローバル全体のITプロジェクトに関する情報を、ワンポータルで『見える化』できる仕組みは導入できないものかと考えたのです」と堤氏は語ります。
この課題を解決するため、参天製薬は2018年、ServiceNowが提供するITソリューション「ITビジネスマネジメント」(ITBM)を導入しました。
ServiceNow導入前の課題
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堤 遠 氏
グループマネージャー兼グローバルアプリケーションリード