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ServiceNowによるワークフロー改革で 大企業や急成長企業の経営層が陥りやすい 「承認作業疲れ」を克服

フレキシビリティ

成長企業にありがちな兼職兼務などの組織体制にも柔軟に対応し、「人ベース」ではなく、「タスクベース」で承認権限ができるような設計が可能。

50%削減

申請フローを集約することにより、月間200件以上あった申請件数を、約半分の100件近くまでに減少することができた。

連携

経費精算用ワークフローと勘定系システムのスムーズな連携により、データ移行に伴う経理担当者の作業負担を軽減することができた。

急成長を続けるSansan株式会社では、意思決定のスピードを鈍らせないためにワークフローのあり方を抜本的に変革するため、ServiceNowのワークフローを導入。モバイル端末でも扱いやすい優れたUI、UXが設計でき、複雑なフロー設定や変更にも柔軟に対応できるため、業務の効率化はもちろん、他システムとのスムーズな連携によるデータ交換も実現し、データ利活用の可能性も拡大しています。


ServiceNowによるワークフロー改革で、大企業や急成長企業の経営層が陥りやすい「承認作業疲れ」を克服


ビジネスの「日常の悩み」をヒントにしたクラウド名刺管理サービスで急成長

「当社は『出会いからイノベーションを生み出す』というミッションを掲げ、新たな人との出会いや、人と人との交わりによって化学反応をもたらすビジネスプラットフォームを提供しています。このプラットフォームを、新しいビジネスの創出や既存ビジネスの革新に役立てていただきたいと考えているのです」

そう語るのは、ユニークなテレビコマーシャルを展開するクラウド名刺管理サービス「Sansan」を提供するSansanの本山祐希CIOです。

2007年に創業したSansanは、「得意先のキーマンに営業をしたいけど、以前もらった名刺がどこにいったか分からない」といった日常的な悩みをヒントに、世界でも前例のないクラウド名刺管理という画期的なサービスを開発。現在は個人向け名刺管理アプリ「Eight」も提供しており、「Sansan」と並ぶ事業の二本柱となっています。

「『Sansan』で管理・共有した名刺情報は、会社情報や新聞記事といった公開されている外部情報とひもづけることができます。単なる名刺管理ツールではなく、顧客データベースとして活用できるのです」(本山氏)

前例のないサービスであるがゆえに、Sansanのこれまでの事業展開は、正解の見えない戦いの連続だったと言います。

「創業当時は、まだクラウドやSaaSというサービス形態自体が十分に認識されておらず、市場をゼロから開拓する必要がありました。そのような状況の中、技術やニーズの変化に即応しながらサービスを改善していくには、とにかく意思決定を速くしなければなりません。スピード感を持ってビジネスを回し続けてきたことが、今日の成長に結びついているのだと思います」(本山氏)

その結果、Sansanの売上高や社員数はここ数年で大きく成長。いまや社員数は600名以上に上り、直近では毎年約100名ずつ増えています。組織も創業時とは比較にならないほど大きくなり、組織構造も複雑化しました。

組織が大きくなれば、判断しなければならないことも多くなり、意思決定にはさらなるスピード感が求められるようになります。これは、Sansanのような急成長企業だけでなく、社員数の多い大企業などにも共通する課題だと言えるでしょう。

「どうすれば、大きな組織でもスピード感のある経営が実現できるのか?」と本山氏は考えました。

社員数が増え、ビジネスの幅が広がれば、おのずと経営層などの上位役職者が決裁すべき案件の数は増えていきます。

意思決定のスピードが遅くなれば、ビジネスの成長を滞らせてしまうブレーキになりかねません。これが、同社がワークフローの在り方を抜本的に見直したいと考えた大きな理由でした。

SansanはServiceNowのワークフローを導入するまで、国内のシステム会社が開発したSaaS型BPM製品のワークフロー機能を利用していました。

しかし、このワークフローは承認経路の再設定やルール変更などの設定方法が非常に複雑で、使いこなせる1人の社員が職人的に変更作業を行っていました。

これでは、その社員だけに変更作業が集中するため、組織の拡大や頻繁な組織変更に合わせて承認経路を柔軟に引き直すことは困難です。

また、以前のワークフローはPCによる操作を前提として画面設計されているため、スマートフォンなどのモバイル端末では使いにくいことも課題でした。

「当社の上位役職者は打ち合わせや外出が多いことから、スマートフォンなどを使って決裁する機会が多いのです。以前のワークフローのインターフェイスはPCに合わせて設計されていたので、無理やり画面を大きくして申請内容を確認したり、承認ボタンを探したりといった作業を余儀なくされていました」(本山氏)

ただでさえ上位役職者には決裁が集中し、多忙になるので、なるべく作業負担が少なく、スピーディに決裁できるUI、UXを備えたシステムが理想です。もちろん、申請する社員とっても、UI、UXの改善には業務効率化などのメリットがあります。

これらの点を踏まえ、本山氏は複数社のワークフローを検討しました。

その中で、最もニーズにかなっていると評価したのがServiceNowのワークフローだったのです。

ServiceNow導入前の課題

● 組織の拡大や複雑化とともに意思決定のスピードが遅くなる
● 従来のワークフローでは組織の変化に柔軟に対応できない

Sansan logo right
企業名
Sansan株式会社
本社所在地
東京都
業種
日本

「ServiceNowのワークフローは、単なる業務効率化のためのツールではなく、ビジネスを回し、成長を続けるために欠かせないプラットフォームです。 使い勝手をさらに高め、よりよくプロセスが回るような環境を整えていきたいですね」

本山 祐希 氏

CIO 兼 コーポレートシステム部 部長

開発者体験の高さが選定の決め手の一つに 

Sansanは2019年3月にServiceNowのワークフローへの移行を決定しました。

経営層からは、本山氏による移行提案への異論はなく、スムーズに了承されたそうです。「承認作業が集中し、意思決定のスピードが遅くなりかねない状況には、経営陣も日ごろから危機感を持っていました。それが抜本的に解決できる方法だったので、むしろ積極的に進めてほしいと背中を押してもらいました」(本山氏)。

本山氏は、ServiceNowのワークフローを選定した理由として、

①複雑なフロー設定やその変更にも柔軟に対応できるデベロッパーエクスペリエンス(開発者体験)が高い

②フロー上の申請および承認内容について、自由に意見やコメントが書き込めるコミュニケーション機能を備えている

③モバイル端末に対応する優れたUI、UXが設計できる

の3つを挙げています。

組織変更に合わせて頻繁にワークフローを組み直すためには、開発しやすいプラットフォームであることが重要です。

「ServiceNowのワークフローはAPI連携できる外部システムの幅が広く、開発の過程で不明な点が発生した場合は、解決方法を確認できるドキュメントも充実していました。さらに、ユーザー同士のコミュニティ活動も非常に盛んで、開発に関わる経験などの情報交換ができることも心強く感じました」(本山氏)

2つ目のコミュニケーション機能は、以前のワークフローにも同様の機能が搭載されており、活用していたそうです。

「申請案件ごとの画面上にチャットのスペースが設けられており、承認に直接関わらない人にも『@名前』を選んでメッセージを送れば、その案件に関する意見やコメントがやり取りできる仕組みになっていました。便利な機能だったので、新しいワークフローでも利用したいと考えました」と本山氏は振り返ります。

そこで、ServiceNowのワークフローに搭載されているチャット機能に自社でカスタマイズを行い、以前のワークフローと同じように申請画面上でチャットによるコミュニケーションができるようにしました。

結果として、モバイル端末に対応するServiceNowのワークフローでUI、UXは向上し、自由な設計環境も手にすることができました。

さらに、「ServiceNowのワークフローは、稟議に必要な機能はすべて実装されている点も安心でした。例えば、兼務兼職対応、一斉同報、承認者の追加、一段階差し戻し、通知・連絡など、日本企業特有の複雑な稟議プロセスにも対応できています」と本山氏は語ります。

ServiceNowを評価したポイント 

● デベロッパーエクスペリエンスが高く、アプリの開発やカスタマイズがしやすい
● スマートフォンでも使いやすいUI、UXを備えている
● 日本企業特有の複雑な稟議プロセスにも対応している

「人ベース」ではなく「タスクベース」で承認権限を設定 

ServiceNow導入後、本山氏はその開発のしやすさを生かして、申請から承認までのフローが円滑に回りやすくなるような仕組みをいくつも構築しました。

フローを構築する上で大前提としたのは、承認する側を「人」をベースとするのではなく、承認する「内容(タスク)」ベースで基本設計することです。これは、Sansanのような急成長企業や、大企業にありがちな兼務兼職に対応するためです。

「成長とともに組織がどんどん大きくなると、どうしても一時的に1人の役員や管理職が複数の部門・部署の長を兼務兼職せざるを得なくなります。これに柔軟に対応するには、人をベースに承認権限を割り振るよりも、タスクベースで割り振る方が合理的だろうと考えたのです」と本山氏は説明します。

一つひとつのタスクについては、複数の承認者を割り当てるグループを作り、申請が行われると、その情報がグループ内のすべての承認者に一斉同報される仕組みも作りました。グループ内の誰かが承認すれば、決裁が下りる仕組みです。

「承認者を複数にすれば、業務負荷を分散することができますし、同じタスクでも、申請内容によっては、承認するのにふさわしい人が異なる場合もあります。そこで、タスクグループの全員に申請情報を発信し、内容を検討してもらった上で、適切な人が承認するという仕組みにしました」(本山氏)

さらに、一つの承認が終わると、それにひもづく次の承認プロセスが自動的に動き出すという流れも作りました。例えば、購買契約に関する承認が下りると、その支払いのための承認プロセスが動き出すといった仕組みです。

「ゆくゆくは、連携できる承認プロセスの流れはすべて自動化して、承認作業の大幅な省力化を図りたいと考えています。結果として、企業の成長スピードを妨げない理想のワークフローが実現するはずです」と本山氏は語ります。

ServiceNowのワークフローに移行したことによって、いくつかの業務効率化の成果を得ることもできました。

一つは、最も利用頻度の高かった申請フローの集約による作業負担の軽減です。

以前のワークフローでは約50種類の申請フローを用意していましたが、そのうち最も利用頻度が高かったのは購買申請と、その購買品の契約申請の2つでした。

「本来なら、一つのフローにまとめてしまってもよいはずですが、それぞれの入力項目数や処理のステップ数が多すぎるため、以前のワークフローでは集約できなかったのです。長年、何とかしたいと思っていましたが、開発しやすいServiceNowのワークフローに移行したおかげで、ようやく一本化することができました」(本山氏)

その結果、2つ合わせて月間200件以上あった申請件数を、約半分の100件近くまで減らすことができました。

また、Sansanでは、経費精算用のワークフローを勘定系のシステムに連携させて会計処理を行っていますが、以前のワークフローではデータ交換がスムーズに行われず、経理担当者に余分な負荷がかかっていました。

「ServiceNowのワークフローに移行してからはデータがスムーズに流れるようになり、担当者の負担が大きく軽減されました。柔軟なワークフローが実現しただけでなく、業務効率の改善効果まで得られたことにとても満足しています」と本山氏は語ります。

ServiceNow導入の効果

● 兼務兼職など、タスクベースの承認割り当てを柔軟に設定できる
● 利用頻度の高い申請フローの集約により、申請者の作業負担を軽減
● 経費精算用ワークフローと勘定系システムの連携で経理担当者のデータ移行作業負担を軽減

単なる業務効率化にとどまらず成長に欠かせないプラットフォーム 

Sansanでは、ワークフローのほかに、ServiceNowのITSM(ITサービスマネジメント)も利用しています。ユニークなのは、社内SNS上に設けたIT関連の問い合わせ窓口とITSMとを連携させている点です。

問い合わせ窓口に「システムの不具合をチェックしてほしい」といった書き込みがあると、その情報がすぐさまITSMに送られ、問い合わせ対応のためのチケットが起票されるという仕組みを構築しました。

本山氏は、「ワークフローについても、同じような自動化の仕組みを積極的に取り入れて、承認作業の軽減や、スムーズな業務処理の流れを実現していきたいと考えています」と語る。

Sansanのような急成長企業や事業拡大をする大企業にとって、承認作業の省力化、迅速化は、さらなる成長を実現するために欠かせない重要な要素の一つです。

本山氏は、「その意味でServiceNowのワークフローは、単なる業務効率化のためのツールではなく、ビジネスを回し、成長を続けるために欠かせないプラットフォームだと言えます。今後は、蓄積される利用状況の分析によって使い勝手をさらに高め、より良くプロセスが回るような環境を整えていきたいですね」と、今後の抱負について語りました。

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